「折り畳椅子」 作詞・作曲 わや 1999.4.22

僕が昔 作った 折り畳椅子 20年の時を過ごした 僕とともに生きてきた

中学の技術家庭の実習で 折り畳椅子を作ることになった
基本的にはみんな同じサイズとデザイン 僕にはそれがつまらなかった
中途半端なものを作るよりはと 誰のよりも大きいのを設計した
先生に材料を余分に頼んだら 他の奴らからずるいぞと言われた
  我ながらうまくできた 座り心地の良い折り畳椅子
  その頃好きだった女の子には 怖がられて座ってもらえなかった

僕が昔 作った 折り畳椅子 20年の時を過ごした 僕とともに生きてきた

とてもよくできた椅子だけど 実家では使いみちはなかった
いつのまにかあることさえ忘れ 物置の隅で埃をかぶっていた
大学時代にふと思いだして 一人暮しのアパートに置くことにした
折りたたみの利点を生かして フェリーと電車で名古屋まで運んだ
  瀬戸内海を渡るフェリーの甲板で 毛布に包まり座って星を観た
  満員の近鉄電車のデッキでも 立たずに済んで楽できた

僕が昔 作った 折り畳椅子 20年の時を過ごした 僕とともに生きてきた

実はアパートでも使いみちはなかった コタツで何でも済ませる生活だった
折りたたみなので邪魔にはならなかったけど 捨ててしまおうと思ったこともあった
2DKの公団に引っ越してから やっと椅子として使われ始めた
だけど結婚してやがて子供もできて 狭くなってくるとバルコニーに追い出された
  まだガーデニングって何?って時代 殺風景なバルコニーだったけど
  夜景を見ながら呑むビールは とても美味しかった

僕が昔 作った 折り畳椅子 20年の時を過ごした 僕とともに生きてきた

その後3DKの公団へ引越し そして二人目の子供が生まれた
いろいろと迷いもしたけれど 思いきって借金して今の家を建てた
長い旅をしてきた折り畳椅子は ウッドデッキに安住の地を定めた
雨が降れば濡れたりもするけれど 多分今までで一番気に入ってる
  お月見したり花火見物をしたり 虫の声を聞いたり
  子供達と遊んだり もちろんビールも椅子に座って

  さすがに体重をかけると ミシミシ音がするようになった
  しかたないさ設計した頃の僕は 今よりずいぶん軽かった

僕が昔 作った 折り畳椅子 20年の時を過ごした 僕とともに生きてきた
僕とともに生きてきた 僕とともに生きてきた